[レポート]~ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団 第63回定期演奏会〜

 2023年11月5日(日)14時より大阪音楽大学 ザ・カレッジ・オペラハウスにて、「ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団 第63回定期演奏会」が開催されました。

 この公演はモーツァルトとサリエリという因縁のある二人のオペラを同時に楽しむことができる珍しい公演です。  プログラムは以下の通りです。


  1. W.A.モーツァルト《劇場支配人》
  2. A.サリエリ”Concert’ Opera”~音楽とお芝居、映像の新しい形のコンサート・オペラ~《はじめに音楽 それから音楽》

 《劇場支配人》と《はじめに音楽 それから音楽》はどちらも神聖ローマ皇帝ヨーゼフ2世からの依頼でつくられた作品で「舞台の上演に向けて演者が奮闘をする」という大きな宇ストーリーラインも同じになっています。

 《劇場支配人》は出演者が4人とオーケストラの形で上演されました。
 一人ひとりの芯のある歌声と技術が素晴らしく、また、2重奏、3重奏、4重奏と歌い手が増えていくにつれ、歌声がオーケストラと溶けあって心地よい響きで会場が満たされてていきました。
 《はじめに音楽 それから音楽》は、「音楽とお芝居、映像の新しい形のコンサート・オペラ」として、こちらも出演者が4人とオーケストラの形で上演されました。
 こちらは全編カットなしで1時間ほど上演され、イタリアをイメージさせるような風景や面白おかしく演出された登場人物の映像が流れており、舞台空間を目一杯使ったものになっていました。

 全体を通して、字幕が現代風にアレンジされ関西弁が使われており、鑑賞者が親しみやすいように工夫されていました。
 筋書や題材がほぼ同じ内容の2作品ですが、当時はサリエリの方が断然人気があったようです。見比べてみて、現代ではどちらの作品のほうが人気が出るのだろうかと興味深く感じましたし、二つの作曲家の作品を同時に鑑賞することができ、双方の魅力がより理解できる機会になりました。

(執筆:船積悠雅)