「ドリームコーラスコンサート」 本山秀毅学長〔INTERVIEW〕

阪急宝塚線沿線の音楽文化をつなぐことを目的にしたプロジェクト「阪急宝塚線ミュージック駅伝MOT! 2022」(以下MOT!)は、11月26日(土)大阪音楽大学ザ・カレッジオペラハウスでの「ドリームコーラスコンサート」にて閉幕します。宝塚音楽学校、関西学院グリークラブ、大阪音楽大学合唱団と吹奏楽団による夢の競演です。今年の聴きどころを大阪音楽大学学長、合唱指揮者であり、本公演の演出・構成を担う本山秀毅先生に、MOT!事務局(ミュージックコミュニケーション専攻)学生がお伺いしました。

―ドリームコーラスコンサートは今年で3回目を迎えます。2019年に華々しく初回を開催し、2020年はコロナ禍で中止、昨年(2021年)は感染症対策を万全にして2回目を開催しました。今年3回目を迎えるまでの経緯をお話いただけますか。

本山学長:最初は、「こんなことができたらまさに夢のようだ」という構想からのスタートでした。第1回から参加校のみなさん、スタッフとしてはミュージックコミュニケーション専攻の学生をはじめ、たくさんの方々の協力でMOT!参加公演という形で実現することができました。男声合唱(関西学院グリークラブ)、女声合唱(宝塚音楽学校)、混声合唱(大阪音楽大学)と合唱の形態が全部違うのでお客様にも楽しんでいただけたのではないかと思います。また、宝塚音楽学校と関西学院グリークラブは、ただ立って歌うだけでなく、動きながら歌うパフォーマンスもあるので、ステージとして目で楽しんでいただける部分もあります。
昨年は、コロナ禍で「本当にできるのか」という心配が最後まで拭えませんでした。特に宝塚音楽学校は行動を共にすることが多いためナーバスな部分がありましたが、マスク着用した上での歌唱で、参加いただくことができました。
今年も感染症対策を施して、無事開催を迎えます。第1回にはおこなったものの、昨年はコロナを理由にできなかった、1団体ずつ舞台に上がって校歌を歌うパート「エール交歓」を今年はおこないたいと思います。初めての来場者にも、何回目かの来場者にも楽しんでいただけると思います。

 

―現在再び第8波の心配はありますね…。コロナ禍の合唱の現状についてお聞かせください。

本山学長:皆さんもご存知のようにこの2年半ほどで右往左往しながら色んなことが進んできました。合唱だけではなく、歌うことは息を使うことなので、1番風当たりが強かったと思います。今年もマスクをしての歌唱になります。でも、その中でも続けてきたということです。宝塚音楽学校も関西学院グリークラブも自分たちがやりたいこと、やらなければいけないこととして工夫しながら続けてきたということですね。それを、辞めてしまうという流れにならないのが、歌の持っている力だと思います。現状、厳しい時代を完全には抜けきれてはいませんが、続けてきたということは間違いのないことだと思います。

 

ーところで、ドリームコーラスコンサートの参加3校、大阪音楽大学と宝塚音楽学校と関西学院グリークラブとの関係性はどのようなものなのでしょうか?

本山学長:宝塚音楽学校、関西学院大学、大阪音楽大学の3つの関係は阪急沿線であることですね。MOT!は阪急宝塚線沿線の音楽文化をつなぐという趣旨ですので。関西にはたくさんの私立の学校はありますが、3校とも100年を超える歴史があるという意味でも、なかなかないコンサートだと思っています。私自身合唱指揮者として、関西学院大学のサークルには15年ほど指導にあたり、宝塚音楽学校へは95期生の頃に指導に行っていました。両校とも私自身、合唱を通じて接点があるのです。
また、関西学院大学と大阪音楽大学は連携協定を結ぶことが昨年決まりました。来年度からは大阪音楽大学の学生が関西学院大学で教養教育の授業を受講し、関西学院大学の学生が大阪音楽大学の音楽の専門科目を受講して、単位を取ることができるシステムとなります。関西学院大学のような大きな大学と、大阪音楽大学のような専門的な大学で、お互いの持っていないコンテンツを交換できるということを考えました。

 

ドリームコーラスコンサート

―今回のプログラムの見どころや聴きどころを教えてください。

本山学長: 宝塚音楽学校は、動きのあるステージがあったり、《六調》という奄美大島の歌を編曲した締め太鼓が入った合唱があったり、多彩にお楽しみいただけると思います。
関西学院グリークラブは、合唱コンクールの全国大会に進んでいて、コンクールの課題曲シューマンの《春と釣鐘草〜「6つの歌」から》と自由曲《Agnus Dei=空海・真言・絶唱》の2曲が聴きどころです。コンクールの全国大会は本公演の1週間前なので、練りに練った完成度の高い演奏が聴けると思います。
大阪音楽大学はカール・オルフ作曲《カルミナ・ブラーナ》のピアノ2台と打楽器で編曲版を抜粋で演奏します。声楽専攻の2、3、4年生と、男声の割合が少ないので管楽器専攻の1年生の男子学生を合わせた100人を超える大きな合唱団が見どころです。この作品は、12月10日(土)ザ・シンフォニーホール「第65回定期演奏会」で、ソリストも入れてオーケストラで演奏予定です。
また、吹奏楽団にスポットライトが当たるパートもあります。吹奏楽で有名なアルフレッド・リード作曲《アルメニアン・ダンス パート1》も見どころです。
最後には関西学院大学グリークラブと大阪音楽大学合唱団と吹奏楽団で演奏する合同合唱、信長貴富作曲の「くちびるに歌を」も迫力があると思います。
合唱との共演として、ピアノ伴奏だけでなく吹奏楽団も花を添えてくれるので音楽的にも多彩なものを感じていただけるのではないかと思っています。

 

―最後にメッセージをお願いします。

本山学長:合唱のコンサートやジョイントコンサートはたくさんありますが、「ドリームコーラスコンサート」は唯一無二のコンサートであることは間違いありません。関西学院グリークラブは全国大会に出場するような演奏が展開されますし、宝塚音楽学校は音楽学校の学生の時に外で演奏することはなかなかありません。一堂に会するという意味で他にはない魅力を備えた時間になると思いますので、ぜひ皆さんお越しください。

ー今日はどうもありがとうございました。コンサート大変楽しみです!
 私たちもスタッフとして一緒によいコンサートを作っていけたらと思います。

 

インタビュアー:浦井璃子、永井さやか(ミュージックコミュニケーション専攻4年)
2022年11月8日 大阪音楽大学にて