常翔ホール〔INTERVIEW〕
常翔ホールの禅定佳隆さんに、インタビューをさせていただきました。昨年度のMOT!公演の様子や、今年度の公演の魅力、またホールで音楽を聴くことの魅力などをお話いただきました。
―昨年度のMOT!公演「常翔学園吹奏楽演奏会」の反響はいかがでしたか。
昨年度は学校法人常翔学園が100周年を迎えた節目の年で、2ヶ月に1回ホールでイベントを行いました。その中の1つのイベントが『常翔学園吹奏楽演奏会』です。常翔学園に所属している常翔学園中学校吹奏楽部、常翔学園高等学校吹奏楽部、常翔啓光学園中学校・高等学校吹奏楽部、大阪工業大学文化会ウインドアンサンブル、摂南大学文化会吹奏楽部、広島国際大学文化会和太鼓部が集まり、一般のお客様に加えて学園の卒業生や保護者中心に演奏会を行いました。
普段の公演では”中高大”と学校が揃い演奏できる事がなかなかないので、実現できたことは非常に喜ばしいと感じています。お客様に喜んで頂けたのはもちろんですが、何より出演者の学生たちが公演に参加できたことを喜んでいる様に感じました。音楽の交流を交わすことは、学生自身の糧になります。そういう機会になったことが非常に良かったのではないかと思っています。
―今回はミュージカル公演ということですが、ミュージカルの魅力について初心者にも分かりやすく教えてください。
ミュージカルは演劇・音楽・舞踊の3つの要素が全部詰まっているいわば総合芸術としての魅力があります。有名な作品を挙げると「エリザベート」とか。エリザベートは美貌で心も優しくウィーンの市民からも愛されていましたが悲運に見舞われる皇女で、ヨーロッパを支配していたハプスブルグ家に嫁ぐものの最後暗殺されてしまうというストーリーです。歴史的な物語に死神(トート)など色々な役柄が入り脚色されていて、死を象徴しているダンスが挿入されるなど段々と死に吸い込まれている様な気持ちになる。この物語には先述のミュージカルの3要素がしっかりと埋め込まれているほか、照明や音響などの演出などもミュージカルを成功させる鍵となってくると思います。舞台関係と演者の全てが絡み合っていることがひとつ面白い点かと思います。
―今回のMOT!参加公演である「DAION 座 シアター vol.1」の見どころを教えてください。
今回の公演では、一部が演劇の朗読劇、二部はDAION座ミュージカルのソング&ダンスショーだと聞いています。先ほど述べた通り、通常ミュージカルは演劇・音楽・舞踊の3つが揃っているものですが、今回の公演ではあえて分けた構成になっているということで、ちょっと珍しいタイプの公演になると思います。私自身、あまりそういった試みは聞いたことがなくて、そのあたりが見どころかもしれません。
ミュージカル専攻の羽鳥三実広先生からお聞きしたところ、第一部の朗読劇では、アメリカの小説家O.ヘンリーが書いた短編小説「マディソン・スクエア・アラビアンナイト」「人生は芝居だ」を扱うということでした。O.ヘンリーの特徴としては下町の一般家を舞台に、男女の愛とか三角関係を多く書いていて、物語を短編小説で多く遺した作家です。朗読劇と聞いていますが、役者が台詞を言いながら、あるいは台詞以外の所を朗読になるのかどんな形になるか分かりませんが、いわゆるミュージカルとは一味違う公演になりそうです。どんな公演になるか詳細については私もまだ知り得ていないので楽しみにしています。
―今回の出演者は大阪音楽大学のミュージカルコースの学生ということですが学生たちが作り上げるミュージカルにはどういった魅力がありますか。
学生さんの演奏には、プロの熟練した演奏とまた違う初々しさや若々しいエネルギーがあるのが魅力です。今回は学生さんだけでなく教員の先生も入られるということで、生き生きとした生命感溢れるステージになるのではと思っています。
常翔ホールのある大阪工業大学梅田キャンパスOIT梅田タワーでは、月に1度1階のロビーもしくはホールのどちらかでロビーコンサートを開催しているのですが、大阪音楽大学の学生さんに出演して頂いています。フルートやホルン、チューバなど様々な楽器の専攻が出演してくださっていて、ミュージカル専攻さんも年に1回出演頂いています。舞台袖から見させてもらうたびに、学生ならではのパワーを感じています。今回の公演であれば、特に二部のソング&ダンスの部分でそれが感じられるのではないかと思っております。
―常翔ホールさんが思う「ホールで聴く音楽」の魅力を音楽初心者にも分かりやすく教えてください。
常翔ホールに関して言えば、大学の一つの施設ですので音楽専用のホールではありません。しかし、そのぶん大学や学園の他のいろんな学校のイベントであったり、開催内容については多様性のあるホールかなと思っています。
MOT!には色々なホールが参加されており、それぞれ持ち味が異なり、音の響きも全然違います。もちろん専門家が設計していますので基本的な響く・響かないという一定の基準はあるんですが、実際に建ってみないと分からない部分があります。ホールと言うとただの箱のように思われるかもしれませんが、そういう意味では個性があって楽器と似ているんですね。特に木で出来ている場合は生き物のように、出来立ての頃と2,3年経って熟成してからでは年を経るごとに響きが変わっていく。料理や味に人それぞれ好みがあるように、音の響きにも好みがあってよいと思います。宝塚沿線には色んなホールがあるから一度行ってみてそれぞれのホールの響きや個性を味わうというのも楽しいと思いますよ。初心者の方もあまり構えずに、もっと自由に感覚的に楽しんでほしいですね。
お忙しい中インタビューにご協力くださった常翔ホールの禅定佳隆さん、ありがとうございました!
「DAION 座 シアター vol.1」は12月10日(日)13:30〜、17:00〜、常翔ホールにて開催です!
みなさま、是非ご来場ください。