宝塚市立文化施設ベガ・ホール〔INTERVIEW〕

 宝塚市立文化施設ベガ・ホールの岡田陽一さんに、インタビューをさせていただきました。昨年度のMOT!公演の様子や、今年度の公演の魅力、またホールで音楽を聴くことの魅力などをお話いただきました。

―昨年度のMOT!公演「第360回市民のためのオルガンコンサート」の反響はいかがでしたでしょうか。

 昨年はオルガンとオーボエのデュエットということで、オルガンコンサートを開催させてもらいました。オルガンとオーボエなので音がよく調和して素晴らしかったというお声をたくさんいただいております。来場者アンケートを見ていましても、宝塚市内だけではなくて、宝塚沿線(池田、箕面、豊中など)からもお越しいただいており、MOT!に参加しているので広域でのPRが効果が、少しずつ浸透しているのかなと思っています。

―普段の公演とMOT!の公演の違いは何かありましたか。

 色んなところからお客様がいらっしゃいますが、特にMOT!の公演は池田、箕面、豊中などからのお客様が目立つようになってきたのかなと思います。

―今回の公演はバロックやロマン派といった言葉がキーワードになっていますが、音楽初心者にもわかりやすくその魅力を教えてください。

 時代でいうと17世紀から18世紀半ばで、ヨハン・セバスティアン・バッハというバロック音楽を象徴するような作曲家が亡くなったのが1750年であり、その年までとよくいわれています。ヨーロッパを中心に栄えた音楽で、王様とか貴族のための音楽でした。この時代にオルガン、チェンバロ、ヴァイオリンなど、楽器が増えてきたのでそれまでに比べると演奏の幅が広がってきて、音楽に喜怒哀楽などの感情表現がみられるようになったといわれています。実際にオルガンが最も活躍した時代ともいわれています。
 ロマン派とバロックの間に古典があって、ロマン派は時代でいうと1820年から1900年頃の音楽といわれていており、バロックは王様や貴族のための音楽でしたが、そういった誰かのために作られるのではなくて音楽家自身が表現したい音楽に変化したものがロマン派だと思っています。
 あとは今も良く使われているピアノですが、一般に普及し始めたのもこの時代です。今までは聴いて楽しむだけだったものが、自分で演奏するといった楽しみが出てきたのもこの時代という風にいわれています。

―音楽の楽しみがより広がった時代といった感じですね。今回のタイトルにある「猫も喜ぶ音楽会」というテーマが気になりましたが、どのような想いが込められていますか。

 オルガンコンサート自体はこの公演で366回で、ベガ・ホールにオルガンが設置されたときからずっと続けているコンサートです。今年度も2ヶ月に1回のペースで続けていて、10月はMOT!に参加させていただくという形で行っています。
 今回の演奏者はベガ・ホール初登場の方で、ご夫妻です。この方々による演奏会は“おしゃべり”をされて、クラシックからジャズまで幅広いジャンルを演奏されると聞いています。演奏形態はソロもありますしデュエットもあります。ご夫妻の想いとしては“誰にでも楽しめるような”ということを考えて演奏会を作られています。
 猫はいったいどこから出てきたという話ですが、ご夫妻がかなり猫好きで、「みんなも喜んでもらえるけど猫も喜ぶような音楽会」という風に親しみを込めてつけられたものです。

―そうなんですね。猫が好きというところから発展して多くの人に楽しんでもらえるようにという想いでつけられたのですね。聞いてみて面白いなと思いました。続いて、宝塚ベガ・ホールさんが思う「ホールで聴く音楽」の魅力を音楽初心者にもわかりやすく教えてください。

 音楽ってCDで聴いたり、データで聴いたりっていうことが主流になってきたと思うのですが、やっぱりライブで聴くならではの良さですと、演奏者と客席との一体感といったところにあるのかなと思います。今は夏なので野外フェスでいうと、演奏者が何かをするとお客さんもそれに反応するという“同じ時間を共有”している楽しみってすごくあると思います。ホールでやっているのもまさにそうで、同じ時間を共有して両者が色んなリアクションを持ちながらひとつのものを作っていく、そういった“一体感”が楽しいかなと思っています。

―時間の共有っていうことがキーワードになってきますね。

 そうですね。あとはホールの場合だとそれぞれのホールで響きが全然違います。ベガ・ホールだと壁面がレンガ造りになっていまして、凹凸があります。響きがすごくいろんな角度に乱反射するというところもベガ・ホールの特徴です。これは他のホールとは違った点かなと思います。それぞれのホールで違った特徴があったりするので、音を聴き比べたりするのも面白いと思います。

―今回の公演「第366回市民のためのオルガンコンサート~猫も喜ぶ音楽会~」の見どころを教えてください。

 先ほどもお話ししましたが、今回はオルガンでいろんなジャンルを演奏するというところがひとつの見どころかなと思います。あとは、オルガンの連弾がすごく珍しいです。なかなか見られないですし、ピアノも演奏しますのでいろんな要素があるところが面白いのかなと思っています。ご夫妻が思っている「誰もが楽しめるコンサート」になるのではないかなと思いますね。

―オルガンの連弾って珍しいんですね。

 あまり見ないですね。当日は2曲ほどオルガンとピアノの共演もしてくださると伺っています。そちらも珍しいのではないかと思います。そこが見どころですし、「ベガ・ホールならでは」なのかなと思います。

―曲目の特徴はどうですか。

 チラシにもある通り、ディンダの「愛猫マックスのラグタイム」や「愛犬チャーリーのブルース」などはなかなか聞く機会のない曲で、興味深いのではないかと思います。私もここにきて20年以上になりますけど、聴いたことが無いです。ご夫妻がアメリカに住んでいらっしゃったことがあり、アメリカでも演奏されていたのですが、この度日本で演奏してくださいます。とても楽しみにしています。

―366回もオルガンコンサートが続いてきたわけですが、公演内容はいつもどのように決められているのでしょうか。

 基本的には出演者の方がやりたいことをご提示いただいて進めています。タイトルなどに関しては、お話ししたりこちら側の意見を汲んでくださったりして作っています。

―このオルガンコンサートは何年くらい続いているものなのでしょうか。

 ベガ・ホールができて40年を超えています。今は2ヶ月に1回ですが当初は毎月開催していたと思います。ホールができたときにはオルガンはなく、開館の翌年にオルガンが設置されそこから今まで続いています。

ー一貫してオルガンコンサートを実施されているのですね。

 オルガンを設置しているホールは近隣では珍しく、ベガ・ホールの特徴かなと思います。

―タイトルの「市民のための」というのはやはり地域の方にといった意味ですか。

 当初からずっとこのタイトルです。地域の方に聞いてほしいということで開催して。宝塚市民しか来てはいけないのかとたまに言われるのですが、そのようなことはなく、どなたでもご来場いただけます。

―実際に、他の地域からのお客様も多いですか。

 それこそMOT!で広域的にPRしていただいたりというのもありますし、ずっと続けてやっていますので口コミ遠方から来場くださることはありますね。

 お忙しい中インタビューにご協力くださった宝塚市立文化施設ベガ・ホールの皆さん、ありがとうございました!
「第366回市民のためのオルガンコンサート ~猫も喜ぶ音楽会~」は10月14日(土)13:30より宝塚ベガ・ホールにて開催です!
みなさま、是非ご来場ください。