チェンバロと室内オーケストラで楽しむバッハ~第49回バロックコンサート

2022年11月12日(土)池田市民文化会館3階イベントスペースにて、第49回バロックコンサート「音楽の父 バッハ名曲選」の公演が行われました。

 当日の気温は少し暖かく、空は雲一つなく澄み渡っており、まさに秋晴れの日でした。清々しく心地の良い午後のひとときに、バッハの名曲が身体に沁みわたりました。


 この公演は、バッハの名曲をテレマン室内オーケストラによる弦楽とチェンバロの演奏、指揮者の延原武春氏の解説でお届けするサロン風のコンサートです。プログラムは以下の通りです。

・2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1043
 Vivace Largo, ma non tanto Allegro
・無伴奏チェロ組曲 第2番 ニ短調 BWV1008
・イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971
 [without tempo designation] Andante Presto
・無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番 ニ短調 BWV1004より「シャコンヌ」
・管弦楽組曲第3番 ニ短調 BWV1068 ※オリジナル版
 Ouverture Air GavotteⅠ GavotteⅡ Bourrée Gigue

アンコール曲
・アリオーソ
・アヴェ・マリア

 室内オーケストラ、特にチェンバロに関しては映像や音源で見たり聞いたりしたことがありましたが、今回初めて生演奏を体感し、その繊細な音と表現に心惹かれました。

 ピアノとチェンバロは外見こそ似ていますが、内部の弦の振動方法が違います。ピアノは打弦楽器と呼ばれ、ハンマーのようなものが弦を叩くことによって音が出ますが、チェンバロは撥(はつ)弦楽器と呼ばれ、小さな爪のようなものが弦をはじくことによって音が出ます。
 チェンバロの音色はピアノとはまた違った魅力があることを実感しました。

 

 個人的には無伴奏チェロ組曲 第2番が特に印象に残っています。私自身が高校生時代にチェロを弾いていたことからより注目しており、テレマン室内オーケストラ主席チェロ奏者の鷲見敏氏による圧巻の演奏に心打たれました。細かな表現から生み出されるチェロ特有の優しく厚い音色が非常に気持ちよく、幸せな時間でした。

 演奏者全員が集まって演奏された管弦楽組曲第3番も聴きごたえがありました。室内オーケストラは少数で構成されているため、少人数だからこそできる繊細で美しい表現や曲中におけるひとりひとりの役割を確認できる点が魅力的だと感じました。

 2時間ほどのコンサートで、お客様はとてもリラックスした状態で聴き入っていたように感じました。演奏者の表情が普段よりも鮮明に確認でき、会場全体がバッハ一色に染まっていたように思います。

(執筆:船積悠雅)